「ラスティが奪取に失敗したんだって」
「何か…赤も大したことないんだな」
「あの子血だらけじゃないか」
命からがらヴェサリウスに戻り、もう何度その言葉を浴びせられたことか
強奪した他のMSの情報によると、自分たちが奪取し損ねた機体は「ストライク」というらしい
そのストライクに乗っているパイロットがまたなかなかの強者らしく
アスランやミゲルはおろか、クルーゼ隊長ですら捕獲に失敗し機体を傷つけて帰還した
自分達が逃したあの機体のせいで すでにクルーゼ隊の隊員が何人も犠牲になっている
きっと、とんでもないことをしでかしてしまったのだろう
「あーもう、クソ!どうなってんだよラスティ」
「撃たれそうになった僕をがかばったんだよ」
ケガをしたと、軍医のキャロルがいる医務室の前の椅子に座り、ミゲルは苛立ちを露わにする
MSの操縦には自信があったので、ストライクを止められなかったことがどうしても気に入らないらしい
それにサポートに当たっていたが血まみれで帰ってきた
どういうことなのか 聞かずにはいられない
「銃弾が当たったのはメットだから、命に別状はないってさ」
「じゃあなんであんな血だらけだったんだよ、あいつ」
「メットのガラスが割れてまぶた切ったから」
「マジかよ…!もし失明とかしたらどう責任とんの、おまえ!」
「なんで僕が責任とるの?」
先ほどからどうもラスティはやけに淡々と話をする
確かにこの男は、他人に余り興味を示さないところがある
しかしこの一件の原因には少なくとも彼の後方不注意も含まれている
こういう態度を取るのは 間違ってはいないか?
「つかお前、好きっつってたじゃん」
「言ったね」
「じゃあちょっとは心配とかさぁ、てか、何だよその態度」
「何だよって、なにが?」
「心配じゃないのかよ、言いたかないけどお前の不注意のせいだろ?」
「別に、かばって欲しいなんて一言も言ってないし」
こいつ、なんつった 今
「謝罪も、お礼も、心配も、する必要なんてないっしょ」
頼んでないことを勝手にして 勝手にケガをしているのに
こちらが謝罪するのはおかしいと それは彼女の責任だと
当たり前のように彼はそう冷たく言い放った
「…最低だ、お前」
同じ椅子に腰掛けていることさえ 嫌になって
ミゲルは席を外し すたすたと足早にその場を去った
最低 か
そういえばあの時にも そう言われたなぁ
「…上等」
クス と、ひとり笑い 何故か思考が止まって そこから動けなくなった
あとがき
だんだんショートになっていく…!(汗)
究極に短くてすみませんハワワ
(2006/08/21)