「この泥棒!!」





なんと言われたって構わない
だってこうしなければ生きていけないのだから


















まだ記憶に新しい 11歳の冬
ラスティは母親に捨てられた



父親などもっと前からいなかった 
いついなくなったのか 何故いなくなったのかも覚えていない 





 
純粋だった少年の心が 黒に染められたのはこの頃のこと








 




その後施設に預けられたが すぐに嫌気がさした




「必ず戻ってくるから良い子で待っててね」




そう言い残して去った母親を信じて 雪の中ただひたすら待ち続けた
だけど日を追うごとに薄々感づいていく




自分は捨てられたのだと
















ラスティは一人で生きていく術を身につけようとする


悪いことだと判っていても やるしかなかった 
死にたくはなかったから


邪魔になった自分を置いて どこかで幸せそうに暮らしている両親を思うだけで
絶対に生きてやろうと思うようになったから




万引き 暴行 
 

なんだってした
逃げ足は速かったから補導も数えるほどしかされていない 






ただ捕まらなければいい

それだけだった












年を重ねると 大きな行動を起こすようになり
大金を手に入れるために、つるんでいた仲間と強盗を起こした 



運悪く仲間の一人が捕まり、こう言った









「ラスティ・マッケンジーと言う男が主犯格なんだ!俺たちは命令されていただけなんだよ!!」









何も考えられなくなった


警察にされるがままラスティだけが逮捕され 刑務所に入れられた








自分以外の誰も信じられなくなったのは この頃からのこと



















ただ、「生きる」という執念だけは、彼の中から消えることはなく
獄中、何度も脱走を試み、また捕まるということを繰り返した




やがて警察は そうして手に負えなくなった彼をある施設へと差し出すことにしたのだ


















その施設こそ、ザフト軍の士官学校










警察側から見ても 邪魔な存在でしかなかったラスティ
だが軍は違う


生きたいならば 規律に従うしかない


規則を破れば銃殺刑、簡単に消すことができる

それに戦闘中に死んでしまえば 殉死とされる
悪いのは本人だ 
責任もすべて本人へ。




タチの悪い罪人を預かる警察にとって、軍とは最終手段のゴミ箱
ラスティはそこへ送られると同時に、5年間の公式の移動以外の外出を禁止を科せられることとなった













そんな過去をかかえて、ただ生きていくためだけに今や赤へのぼりつめた
ラスティの過去を知るものはラスティしかいない











嫌いだ



人なんて信じない
自分以外 信じてはいけない

愛なんて知らない
そんなものなくたって 生きていけるから


自分のために 自分のためだけに 生きていくんだ
僕は 絶対に









なのに







「死んじゃうと思ったから…!」








何故、は他人のために自分を犠牲に出来る?





泥棒 最低 ゴミだ クズだ 死んでしまえ。 





何度も何度も浴びせられた言葉

僕が死んでも… むしろ、死ぬことを望まれてきたのに どうして
あんな風にしてくれる人なんて 今まで一人もいなかった










でも、だからって






「なんで…」







僕はいま泣いているの?





































あとがき
あたためまくったラスティ過去話。ちゃんと書けてないけど(汗)
なんか…流れというか雰囲気だけでも判って貰えれば…!><;;
(2007/03/05)