あの日見た夢を 君は覚えてるかな
















記憶喪失だったあたしは この日、すべてを思いだした




1年と半年以上、オーブの政治家ユウナ・ロマ・セイランのもとで暮らした
そんなあたしの正体はザフトの軍人


所属していたのはクルーゼ隊で
少し実力に合っていない気がしたが、もらった軍服は赤だった






クルーゼ隊はエリート部隊で、訓練も地球にいた頃と比べ物にならないぐらい厳しかったし、大変だったけど
得たものも多かったと思う 
もちろん失ったものも、たくさんあったけれど





宇宙は、あたしにたくさんの出会いを与えてくれた

誰よりも大事な人が出来た

誰よりも愛する人が出来た





彼の名前はラスティ・マッケンジー





彼はあたしにとってかけがえのない存在で
ふたりで築いた思い出は数え切れないほどある


彼の顔も髪も目も声も心も ぜんぶ大好きで
彼の隅から隅まで愛した

彼もまた、この上ないほどにあたしを愛してくれた


隊長にばれてはいけないから、こっそり会ったりして
色々大変な思いもしたけど




あたしにとっても ラスティにとっても、この大切な時間は 2人だけのもので



















あたしたちは最後の出撃前 絶対に忘れないと誓い合う























彼が死んだ時
何もかもが崩れ去ったと思った
すべてがどうでも良いと思えた





そんな思いは、とうとうあたしとラスティの約束を踏みにじる
すべてを忘れてしまったのだ

あれだけ愛した ラスティのことすら













あたしはラスティを愛したままラスティを忘れて ユウナに出会った



そしてユウナを愛したままラスティを思い出した













そう あたしはこの日 全部思いだしたの

ユウナを愛してる
ラスティを愛してる


どうすれば良いのか判らなくてたくさん泣いて 手首も切って 色んな人に心配かけて


あたしは馬鹿だ









だけどもう 決めたから
ラスティもユウナも どっちが好きかなんてあたしには決められない
一番とか二番とか 必要ない

 

ラスティはもうこの世にいないの
あたしを護ってくれたから






あたしは ラスティがしてくれたように
誰かにとってかけがえのない存在になりたい
あたしの血まみれの手でも 救える命があるのなら そうしたい
あたしに出来ることがあるなら、なんだってやるよ



それがラスティに対するあたしの償い そして伝えきれない感謝の気持ち



ユウナにはこれから数え切れないほど伝えていきたい


















 強く生きて。君は一人じゃない

大丈夫 君は絶対に大丈夫

幸せになれるよ 僕が保証する 僕がずっと祈ってるから












ラスティが一番最後にくれた言葉

目の前で彼がいなくなって、涙で前が見えなくなって
目を瞑った時に 体の中に流れ込んできた言葉





あたしが一番最後に思いだした言葉










こんなにも力強い味方がいる あたしは強く生きるよ
だからラスティ、どうか見守っていてね

















あの日あなたとみた夢は 永遠に忘れない


そして 多くの人に分け与えたいと思う


心から。

























あとがき
本編であんまりに早く立ち直らせてしまったので(汗)
ちゃんと、ラスティのこともユウナのことも考えて葛藤するシーンがないですけど
前編でわかるように(わかるかな汗)ユウナのことも本当に大好きなので!そこだけは!

ちなみにタイトルはちょっと違う意味合いになってます・・・雰囲気です(笑)
(2006.03.01)