青い鳥 どこまでも続く暗い空間 それは宇宙という名で じっと見てると訳が分からなくなる 上も下も右も左もない 宇宙って一体何なんだろう とても 不思議 は窓に指をあてて、その暗い宇宙をぼーっと眺める ヒトは生身では宇宙に出ることは出来ない ナチュラルでも、コーディネイターでも おなじ 「ニコルのお墓、どこにたてるんだろう…」 「さぁ、でもやっぱプラントじゃないの?」 彼が亡くなったのは地球 ずっと行きたがっていた地球 「すごくはしゃいでたよね、ニコル」 「ん…、自然はやっぱり綺麗だって、言ってたね」 「ずっとトビウオとか見てたし」 「あたしも少しだけ一緒に見たよ」 プラントはすべて人工的に作られている それは本当によく出来ているけれど 例えば、天気や気候や、生命までもが、人の手によって作り出される そんな中で過ごしてきたコーディネイターにとって、地球はすごく価値のある星で ヒトの力では逆らえない それほどに偉大で、プラントには有り得ない、自然 それに誰よりも感動して、羨んでいたのはニコルだ 「ニコルはお日様みたいにあったかい子だから、きっと自然にも愛されるよ」 「僕も、…そう 思う」 誰よりも戦争を嫌い、平和を望んだニコル だからニコルを殺した戦争がなによりも憎い よ はやく、もうこれ以上犠牲が出ないように こんな事は終わらせるの 「ラス、青い鳥って知ってる?」 「え?何?」 「しあわせの、青い鳥」 ニコルはきっと地球で 皆の幸せを願う青い鳥になって 今でもあたしたちを見守ってくれてるんだと思うんだ 窓にこつんと額をくっつけて、は目を瞑り呟いた ニコルが残した強い意志 ニコルが死をもって教えてくれたこと あたしたちが貫くよ 「あ、!そこ、青い鳥!!」 「え!?どこ!?」 後ろからラスティが急に声を張り上げるので、ふと顔を上げると 見えたのは先ほどと変わらないまっ暗な宇宙 鳥なんて当然いるわけない 「冗談だよ」 「… もう!冗談になんないから!!」 「あははごめんごめん」 こうやってずっと笑っていられるように、あたしたち 頑張るから だからこれからも 見守っていてね しあわせの 青い鳥 2006/06/02 |