久々に友達と遊ぶ約束をしたあたしは
街の中心であり、大きな噴水のある広場に来ていた


だけど気分は最悪
なんでかって



「あのさぁ」

「ん?」

「何なのアンタ?さっきからニヤニヤしてるけど」

「君の髪、すごく綺麗だなって思って」



なんでかって
噴水の近くにあるベンチに座るあたしの隣で
知らない男がさっきからあたしを見つめ続けるから



「ウザイ」

「ちょ…!」




何コイツ、変態?




昼間からこんな奴がいるなんて
この国はヤバいんじゃないか



そう考えながらは、ちょっと待ってと引き留めるその男から逃げるようにしてその場を去った












ヘンタイにする日










「もしもし?ゴメン、ちょっと待ち合わせ場所変えてもいい?」



約束の時間になってしまった
アイツから十数メートルの道を逃げてきてしまったので場所を変更してもらえるよう友達に電話をした



「ごめん…!私今日行けなくなっちゃったの…!」

「…は!?」

「ホントごめん!今度何かおごるからッ!」

「ちょ、ちょっと…!」




相当急いでいたのか、言い終わるとブツ、と音を立てて電話は切れてしまった






な、なんで…!!!!
アンタを待ってて変態に掴まったのよ私!
結果的に変態に掴まるために待ってたみたいじゃない!

は思わずその場に座り込んでしまいそうなくらいの絶望感に襲われた



「今度この上ないくらいおごらせてやる…!」


そう呟くとこれ以上変な人に絡まれたくはないので、さっさと帰ることを決めた














少し歩き、広場の端に到達すると目線の先に自動販売機を見つけた

「…喉乾いた…」


財布を出そうと、ポケットに手を伸ばすと


「僕がおごってあげるよん」





後ろから聞き覚えのある声がした
少し前に聴いたような気がする


まさか




(振り返るの、超怖いんですけど…)


そう思いながら俯いていると、視界に自分以外の足が映る



「何が良い?」



と言いながらそいつはの顔をのぞき込んだ





見たことある顔
間違いなくこいつはさっきの変態


認識すると、今度は今とても互いの顔が近いことに気付く





「イっ…イヤァァァアアアアア!!!!!!!」

「え!?何!どうしたの!」

「アンタねぇ!どうしたのじゃないわよ!!!!!!!」



思いっきり後ろへ下がり、変態との距離を取りながらブチ切れてみせると
彼は何のことだかわからないと言った表情をうかべた




何コイツ何コイツ何コイツ!!
まさかずっと着いてきたの!?
ストーカーじゃない!
警察に訴えてやる!




「アンタ名前は?」

「僕?ユウナだよ」

(こいつアホだ…)


ニコニコしながらバカ正直に名乗るそいつに呆れながらも
鞄から手帳を取り出して、名前をメモする



「ファミリーネームは?」

「それは秘密♪知りたかったら僕と…」

「死ね」



まだ何か言っている途中の彼にそう言い放つと、
紫色の長髪・癖毛・モミアゲ・背はあたしより少し高いくらい・マジでキモイ
と、彼の特徴を書き上げた


これを警察に提出すればいい
今自分で連れて行くのはさすがに無理だと思ったから
これだけ特徴書いてればファミリーネームなくたって大丈夫でしょ
顔も覚えてるし…



「じゃあね」

「ちょっと待ってよぉ、自販機にお金入れちゃったんだから何か…」

「知らない」

「ちょ、っと!」





彼を置き去りにしてスタスタと駅の方へ歩き出す
ユウナは必死に追いかけた



「待ってってば!」

「しつこい!何よ、ジュース代?払うからどっか行って」

「違うよ!僕はただ君と…」

「あんたナンパよりタチ悪いんだけど」

「ぅ…」




少し俯いてしまったユウナを冷たい目で見届け
はまた歩き出す



「ねぇ!」



このままでは電車に乗って遠くに行ってしまう
そう感じたユウナは思わずの腕を掴んだ




「ッ!!??」

「少しだけ、僕の話相手になってよん」

「―─!あのねぇ、世間じゃあんたみたいなのを変態って言うのよ!」

「へ、変…ッ!?」

「離して。」





広場を出て大通りに来たため、さすがに周りの目も気になり始める
そっと掴んでいた手を離すと、彼女は走り出してしまった



























あとがき

続きます。
気の強いヒロイン、とても楽しいです。(笑)


(2005.09.09)