「花火大会?」

「あぁ、今日河原の方で祭りがあるんだってさ」

「祭りか…懐かしいねカガリ」

「昔よく行ったもんな!だからさ…」

「?」



















消えない花火
















「はなび?」

「そうだよ、今日河原でお祭りがあるんだって」

「お ま、つり?」

「うん。カガリとアレックスとと僕、4人で行かないかい?」



祭りのなんたるかを知らないは軽く首をかしげていたが、
4人で行くという言葉を聞いてパアっと顔を明るめた



「行く!」

「よし、じゃあ準備しようか。日が暮れる前に行こう」

「うん!」

はカガリの所へ行ってくれるかい?」

「うん!!」

(相当嬉しいんだろうなぁ…最近忙しかったし…)




4人で集まるのも久々で
外に遊びに出るのもまた久々であった

の表情が明るくなるのも当然
「うん」ばかり繰り返すを見て、ユウナからも自然と笑みがこぼれた














ぱたん、と静かにドアを閉め部屋を出た
満面の笑みを浮かべながら隣の部屋に入る

隣の部屋にはもう準備を終えたカガリが来ているから
とユウナが言っていたからだ




「よ、!久しぶりだな」

「うん!久しぶり!」

「嬉しそうな顔するなぁお前は!可愛いやつめー!」



このこの、と付け加えて
カガリはの頬を軽くつねった


「ははり、ほのふふひれひ!」

「アハハ、何言ってるのか分からない!」

「いはい!はなひへよー!」



つねられていては会話が出来まい、と
はぽかぽかと軽くカガリに反撃した


「悪かった、離す!だから叩くなって!!」




アハハ、と互いに笑い合う姿はまさに年相応のそれで
カガリが国家元首だとは誰も思わないであろう


正直バカみたいに笑いあえるのもこの4人が居るからで
たまにだけど、集まれるのはとても嬉しい

わずか18歳のカガリに、国家元首という肩書きは重すぎるのだ
だからこそユウナやアレックス、それにの存在はとても大きい





「んで、なんて?」

笑いすぎて少し潤った目を拭いながらカガリは言った


「その服綺麗だね、って」

「あぁこれか?これは浴衣って言うんだ」

「ゆかた?」

「そ!んでこれを今からに着せるのが私の仕事!」


と、そばにあった箱を開けると中から浴衣が顔を出した
夕焼けに溶けてしまいそうな橙色をしたカガリの浴衣とは対照的に
箱から出てきたそれは、澄んだ青色



には青が似合うかなーと思ってさ。ほら、脱いだ脱いだ!」

「うん!!」

「あとで髪も結ってやるからな」

「うん!!」

「テンション高い?」

「うん!!!!」


クスクスと笑うカガリは、
なんだかユウナがあそこまで可愛がるわけが分かるよ
としみじみ思っていた

その間はずっと嬉しそうな顔をうかべたまま、カガリのされるがままである



















「アレックスは何着ても似合うんだね、この男前」

「自覚はないが服のセンスがおかしいとはよく言われる」

「それは思うけどそれすら似合ってるんだよね君は」

「嬉しくないな」

「自覚がないならいいじゃないか」




隣の部屋では男性陣も浴衣を着ていた
こちらも慣れているユウナが、アレックスの着替えの手伝いをしながら毒を吐く
アレックスも気付いているのか居ないのか、それをかわしていた




「ユウナロマも基本はいい顔だとは思うけど…」

「まさか」




まさかだなんて自分で言っていて悲しくなるが
正直自分を格好いいだなんてユウナは思ったこともなく。
アレックスのような男前が目の前にいるならばなおさらの事である





「ただその髪型が…」

「な…!髪型を変えるつもりはない!!」

「はげるぞ」

「それはアレックスだろ?」






会話を交わすたびにトゲトゲとした空気が流れる
だがこれはこれで彼らは楽しんでいた
なんだかんだ言っても仲はよいのだ






「カガリの浴衣姿可愛かったね、アレックス」

「あぁ。も楽しみだな」

「なんでアレックスが楽しみにするの?!」

「いいだろ別に!」

「良くない!」







ようやく着替えを終え、また始まる討論
あーだこーだとごちゃごちゃとやっていると






「じゃーん!」




急に勢いよくドアが開いた




「どう?コレ!めちゃくちゃ似合うだろ?」

「ユウナも浴衣!アレックスもー!」





そこには準備を調えたカガリとが立っていて
ふたりともいつもとは違う
女の子な部分を全面的に引き出したような、そんな雰囲気をかもしだしていた

ただ





「なんだお前らコメントなし?」




―─黙っていればの話











「ユウナ浴衣かっこいいね!」


カランコロンと下駄をならしながら ユウナのもとへと駆けつけて嬉しそうな顔を浮かべる


「え、あ… あ、の」

「…?」

「その、綺麗、だよ。…すごく」

「本当に?ありがとう!」






顔を真っ赤にしているユウナとは対照的に
は本当に機嫌が良く、どうやら大した意味としては捉えていないらしい





「やっぱりアイツらバカップルだな、アレックス」

「あぁ、お似合いなんじゃないのか?」

「だよなぁ。、めちゃくちゃ可愛いだろ、浴衣」

「カガリも可愛いよ」

「ぅぇええ!?え、あ… あ」

「俺は?ユウナロマには似合うと言われたけど」

「あ 、ぅん、似合う!似合うよ!綺麗だ」

「ありがとう」

「あ、うん…私も、ありがとう」




ユウナとを置いてさっさと部屋を出た2人もまたバカップルだった
いつもは気が強いカガリだが、恋愛沙汰になればめっぽうおとなしくなってしまう
恥ずかしさに耐えきれなくなり、玄関に向かって早歩きで歩き出した


























外に出ると少し日が落ちていた
心地よい風が、4人の髪を揺らす


「涼しいねユウナ」

「うん、良い風だねぇ」




そう言うとユウナは財布からエレカのキーを取り出した



「車はユウナが運転するのか?」

「いや、俺がやるよ」

「本当かい?アレックス」

「あぁ、ユウナロマはゆっくりしてくれ」

「さすが使用人だねぇ。ありがとう。」

「使用人じゃない、ボディーガード!」

「ははは」

「お前ら仲良いんだか何なんだか、って感じだなぁ」



いつもの2人の討論に、カガリがつっこむ
その間アレックスはエレカが置いてある車庫へと足を向けた





「ユウナはアレックスがすきなんだよ、ね!」

「好き?」

「だからちょっかい出すんだよ、ね!」

「ね!じゃないよ…!勘弁してくれ…」

「アハハ、図星じゃないか!大丈夫だよ、アレックスもお前の事嫌いじゃないから」

「良かったねユウナ!!」

「何だったら助手席座るか?ユウナ」

「何を言い出すんだカガリ!誤解しないでくれ!!!僕はの横に座るからね!」

「あたしカガリの隣でも良いよ」



必死に弁解しようとするユウナに、2人はプッと吹き出して笑い始めた
一方のユウナは少し暗くて判りにくいが、顔を赤らめて困った表情を浮かべていた





そうして騒いでいると、後ろからエレカのライトに照らされる



「お待たせ、乗ってくれ」

「ああ、お前の横にはユウナが座るから」

「カガリ!!!!」

「あはははは」





楽しい
本当に楽しい

こんな幸せがずっと続けばいいのに




ユウナ








































あとがき

ていうか私が楽しいです。(どうしましょう(笑))
この4人の絡みが非常に楽しい。理想のまま書きました。少しカガリが男くさいですが…!
楽しんで頂けると幸いです。そして続きます。

(2005.07.27)