「うわー人がいっぱいいる!」




エレカでほんの十数分ほど。
河原から少し離れたところにエレカをとめ、4人は車を降りた
の言ったとおりに見渡す限り人 人 人
年に一度しかない花火大会だから仕方ないとは言え、それはオーブの全市民が来てるのではないかと思うくらいだった





「大丈夫なのかい?カガリ。」



カガリは市民に顔が割れている
だいぶあたりが暗くなっているとはいえ、もしバレてしまえば大騒ぎになること間違い無しだろう
それでは楽しむどころではなくなってしまう



「心配はないさ。とっておきの場所があるんだ」

「…とっておき?」




河原とは反対の方向を指さし、カガリは笑顔で答える
そして言葉無しにアレックスと顔を見合わせ




「じゃあ俺たちはそこに行ってくるから」

「ごゆっくり♪」


ニヤリと笑いながらそう言い残し、こちらが反論する間も与えず指さした方向へと走って去っていった



「ちょ、……!」



手を伸ばしたまま固まってしまうユウナ
何を考えているんだあいつらは
まさかこんな事になろうとは

帰りはどうするつもりだ
エレカは一台しかないし
連絡手段もないじゃないか

(しまった!キーはアレックスが持ってる…)



じゃなくて!












消えない花火















「あ、れ?カガリ達は…?」



そこでようやくが事態に気付いた
初めて見る光景にキョロキョロとあたりを見回すことに必死だったのだ



「それが、市民にばれたらマズいからとか言ってどこかに逃げた…」

「…あたしたちは…?」

「仕方ないね、別行動だ…構わない?」

「うん!じゃあ早く行こうユウナ!」

「あんまり走ると転ぶよ!」



嬉しそうに、明るくにぎやかな屋台へと走り出すの少し後ろを追いかけながら
ユウナは実は内心ほっとしていた
カガリと一緒じゃなきゃ嫌だとか言われたらどうしようかとハラハラしていたらしい


(もしかしてカガリ、気を遣ってくれたのかな…?)


まぁなんでもいい
と2人でいられるのだから








そうして早歩きになるユウナを見ながらクスクスと笑う2つの影があった





「よーし、成功成功!こうでもしなきゃあいつら先に進まないからな」


エレカの後ろからこっそりのぞき込むカガリと


「ユウナロマがしっかりしなきゃいけないのにな」


カガリの後ろで腕を組んで立つアレックス





「でも…本当に良いのか?お前は」

「え?」



急に真剣に語りかけるカガリにアレックス…いやアスランは何のことだか理解できなかった




「アスランはの事をよく知ってるんだろ?その…過去とか」

「あ、あぁ」

「このままとユウナがくっついてもいいのか…?」


ユウナと、
出会うべくして出会ってしまった
知らぬうちに互いに惹かれ合っていた
いくら鈍いアスランでもそれは見ていてよく分かる


だからこそ


「それは…俺がどうこう言ってなんとかなる問題じゃないだろ?」

「そうだけど…」

「それに俺は、が笑っていればそれで良いから」



多分を愛して散った彼もそう望んでいるはずだから






カガリの目をじっと見つめ、そう言うと

「そっか!」


カガリも安心したのか笑顔で返してくれた


「私はお似合いだと思ってたんだ。2人には幸せになって欲しいからさ」

「俺も、そう思うよ。」

「んじゃ私たちも行こっか、とっておきの場所」

「あぁ」



さりげなく差し出された手をカガリは照れながらもそっと握る
そして河原とは反対の、「とっておきの場所」へと歩き出した








「ユウナー!見てー!」


まるで幼い子供のようにはしゃぐは、人混みの屋台通りへと飛び込んだ


「うわ、…あ、すみません。、待って」


一方のユウナは人と人の間をするりと抜けていくを追うのに必死だ



「はぁ。やっと追いついた…」

「見て、これ、綺麗だね!」

「リンゴ飴?」

「え?これ、飴なの!?」


真っ赤なリンゴ飴を指さして目を輝かせるは、どうやら宝石か何かだと思っていたらしい



「欲しかったら買うよ」

「いいの…?」

「ん、今日は遠慮しなくて良いから」

「ありがとうユウナ!!じゃあ一番小さいの下さい!」


気を遣ったのか、食べにくいからかは分からないが、一番小さい物を頼んだ
店のおじさんからそれを受け取って、嬉しそうに食べる
本当に可愛い
本当に愛おしい

このままずっと見ていたいと、思った



「美味しいよ。ユウナも食べて」

「い!?いいよ僕は!甘い物は苦手だから…」

「なんだ…」


しゅんとする彼女の頭を撫でてやろうと思ったが
浴衣に合わせて髪も結ってあって、触ったら崩れてしまいそうだった



「今日は頭撫でられないね」

「うん」



ふふ、と小さく笑い合い
また人混みへと歩き出した



今度はゆっくりと


、はい」

「…うん!」



互いの手をきつく握りしめて



































あとがき
終わらない…!明日へ…!(笑)
次で終わります。アスカガ好きなんです^^

(2005.08.01)