「今日もメールなし、っと」
そうひとりで呟きながら、ノート型のパソコンをぱたりと閉じた
過去のことについて知りたいことがあれば、メールをくれ
と言って一週間
まったく来る気配のないからのメールにディカッカは待ちくたびれ、大きな溜め息をこぼす
「をオーブで見かけた!?」
そう聞いたときは死ぬほどびっくりした
俺たちはずっとあいつを探してたけど
もしかして本当に もう、この世にはいないんじゃないかと心のどこかで思っていたから
黙っていたアスランや本人には正直腹が立ったけど
生きていたことに免じて、特別に許してやる
なんて思いながら俺たちは、
に会ったらまず何を言おうとか、思いきり説教してやろうかとか
ひそかに心を弾ませて あいつがいるオーブへと向かった
『嫌…離してッ…』
『ごめんなさい。ごめんなさい…』
そう繰り返す目の前の女は、確実に俺たちの知ってるじゃなかった
つか、まずあいつ泣かないし、ごめんなさいなんて聞いたこともない
嫌とか離してとかもっての他だ
あいつはこんな弱い女じゃない
何かがおかしい
目をまん丸くさせて驚く俺たちにアスランが放った言葉
彼女は記憶喪失だということ
あの時の俺たちの絶望感っていうかなんていうか
それはすごいモンだったと思う
さすがの俺でも、めまいがした
でもイザークのやつを支えてやらなきゃ
とっさにそう思って、もう帰ろうと肩に手をやった
向こうの人ケガしてたけど、ぶっちゃけそれどころじゃないし
俺たちは本当にいっぱいいっぱいで
あのイザークだって今にも泣き出しそうな顔で、触らなくても分かるくらいに手が震えてる
もう色々限界だと思った
本当はあのとき
アスランが俺たちに黙ってた理由も納得したし
来なければ良かったと 心から思った
でも だけど
死んだかもしれないと思ってたが
俺たちの大事な戦友のが 生きてて、目の前で確かに存在してて
もう会えないかもしれないと思っていたのに 見事に再会を果たすことが出来たんだ
そう思ったら少しだけ心に余裕が出来た
たぶんそれは俺の性格で イザークには到底無理なことだったんだろう
だから俺がやらなきゃと思って
に声をかけた
名刺渡して
メールちょうだいって言って
おぼつかない様子で俺の名前を呼ぶの
顔も、声も、なんだか全部別人みたいで怖かったけど
必死で笑顔作って、別人でもなんでも、アイツはだから
また仲良く出来ればいいなとかガラにもなく思ったりして
『俺もイザークも、お前のためならなんでもするからさ』
そう言った
帰りに、ずっと黙り込んだままのイザークを見守って
自分の部屋に着いたときには俺もかなり疲れてた
きっと今頃イザークはニコルの時みたいに壁とか殴ったり蹴ったりして
気持ちいいぐらいに号泣してんだろうなぁ
なんて想像して、散らかったベッドに転がる
そのままぼーっと天井を見ていると
俺の頬にひとつぶ、何かが流れた
「あーあ……だっせぇの」
人差し指でそれを拭い、少し笑いながらそう呟いて
今度は枕に顔をうずめて静かに目を閉じた
あとがき
ずっと書きたかったディアッカ(&イザーク)視点。
この子達にも辛い思いさせてるなぁと思いまして。
でもちゃんとディーはけじめをつけます。
ディーもイザも好きなんじゃないんです、あくまで友情で!
(2005.12.04)