「ありがとうユウナ!」




そう言いながらユウナの手からソフトクリームを受け取り、美味しそうに食べ始める


「ユウナの分はないの…?」

「ああ、うん」



甘い物はあまり好きじゃないから
と言おうと思った瞬間




「はい」




ソフトクリームを持ったの手が自分に向けられる



「一緒に食べよ!」




同時に眩しい笑顔も向けられて、そんなこと言い出せなくなってしまった


「ありがとう…」


向けられたの手に自分の手を添え、一口なめて、甘いなぁと思いながらもおいしいねと言う
うん、と返してくるの顔が見たいから

ユウナは何よりの笑顔が大好きだから
















「でも確かにだよな?」


ディアッカとイザークは先ほどのベンチから離れ
達の居る噴水の反対側から覗く




「ああ、セイラン邸まで会いに行くまでもなかったな。話を付けてこよう」

「だぁもう!ダメだって!アポもとっちゃったし、会いに行かないと」



急に乗り出すイザークを抑えながらディアッカが言う


(俺って一生イザークのなだめ役なのかも…)


そんな事を思っているディアッカを尻目に、イザークの顔は歪んでいた




「クソ、目の前にいるのに…!!」





確かにそうだ
この1年半ほど、ずっと探していた
は宇宙でその消息を絶った
宇宙やプラントのどこかにいると信じてやまなかったから、ずっと宇宙を探していたのに




まさか地球…それもオーブにいるなんて









「アレックスにも騙されたな」

「だな。あいつカガリちゃんの護衛なんだろ?」



オーブにいる仲間から、セイラン家でを見たと言う情報が入ってきた
セイランの一人息子はカガリの婚約者だ
アレックスとしてカガリの側にいるアスランが知らないはずはない

そこでアスランに急遽連絡を取り、特別にセイランと面会させてもらえることになったのだ





「なんで黙ってたんだろうなー俺たちが探してるの知ってたくせに…。てか、あの男は何」


二人とも先ほどから気になっていたことを、ディアッカが先に切り出した
というか、性格上イザークからこの手の話を切り出すことは少ないのだが








「あの顔、なんか気持ち悪いから多分ナチュラルだよな」

さらっと酷いことを言いのけるディアッカに、そんなことはどうでもいいとイザークがつっこむ


「だが、見損なった……!」

「まあまあ…彼氏じゃないかもしれないし!俺たちも早くアシックスと合流しないと」

「アレックス」

「そうだっけ」


二人とも偽名には慣れていない
どうでもいいと思っているのが真意ではあるが…



この後はアレックスと合流し、少し街を観光したらセイラン家に向かう予定だ




「オーブに来るのはあの時以来だな…」

「ん、そうだな」



あんなに居たザフトレッドが3人も欠けたと思っていた
だがは生きている

良かった
本当に無事で良かった

そう心に噛みしめ、アレックスを待つことにした


























「おいしかったー」



ユウナは「のために買ったんだから、が食べて」などと上手く言いくるめ、結局一口だけで済んだ


情けないが、の顔をまじまじと見るのはとても恥ずかしい
アイドルのようにとびぬけて可愛いというわけではないが、綺麗な顔立ちをしている
黙っていると、あんな笑顔を向けるなんてだれも思わないような
そんな綺麗な顔だ

なんとなく目を背けてしまい、膝の上にちょこんと置かれている手に目をやった


、手」


コーンを持っていた右手の人差し指に、少しチョコレートが付いている
するとユウナは細いの腕をつかんだ


「ユ…」


の手を自分の方に引き寄せ、人差し指をペロ、となめてやる


「…ウナ」

顔を真っ赤に染めるにとどめの一言


「おいしい」

「ユウナ!!ヘンタイ!」



照れながらもう一方の手をグーにして、ユウナの胸にたたきつける



「痛っ!ごめんって」



そのあともずっと他愛もない話をたくさんして
たくさん笑った













徐々に風が冷たく変化する


「夕焼け」



がぽつりとつぶやいた

ふと空を見ると、端の方が青から赤へと変わっている



「…あ」

「なに?ユウナ」

「約束!面会の…!」



面会の約束
ザフトのジュール隊、隊長のイザーク・ジュールと、その部下ディアッカ・エルスマンが面会を希望している
何日か前にアレックスにそう言われたのだった



「面会?」

「あ、いや!すまないね…もう帰る時間だ」

「うん」



深く聞かれなくてよかった

もちろん周りにはそのことは内緒であるが
ザフトの軍人が自分を訪ねてくるのだ





コーディネイターの
ヤキンの大戦後に宇宙で拾われた


多分本人も薄々は感づいているだろう








自分がザフトの軍人だったのではないかという事を―──































あとがき
いよいよ趣味に走ります!(宣言)

(2005.04.30)