アレックス…?







誰だ



カガリ、その男は誰なんだ



誰、なんだ…



















































「こいつ、アレックス。わたしのボディーガードをすることになったんだ」






突然現れたその男は、カガリのボディーガードとして雇われたという




でも、サングラスの奥に隠されたその瞳にうつるカガリは違う
女性としてカガリを好いている
そういう目で見てる


カガリもまんざらではないこと、もしくはもう恋人同士だと言うこと
すぐに分かった
僕は勘が良いんだ。隠そうったって無駄なことくらい、幼なじみのカガリには分かって欲しかった


僕がカガリを好きだったことくらい、気付いていて欲しかった









やっと帰ってきたカガリに、話したいこともたくさんあったのに
すべて突き返された気がして
もう何もやる気が起きなくなっていた


少し頭痛がする
担当の医者を呼ぶほどではないから、医務室に行くことにした







ガチャ
ドアを開けると、目に飛び込んだのは先ほどのアレックスの姿
すぐに僕に気付いてペコリとお辞儀をした












「医者はいないのかい?」


あたりを見回しながら聞くと、ベッドに苦しそうにもがくヒトの姿があった


僕が驚いて固まっているというのに

「はい、先ほど本部の方に呼び戻されて…30分ほどで帰ってくると仰ってましたが…」

コイツは律儀にも答える





「その、子…は」

ここから確認できる範囲では、頭に傷を負っていた
応急処置とみられる包帯も、もがくことによって少しほどけている


「先の大戦で、生き残っていたのを発見しカガリ様がお連れになられました」

「カガリが?!」

「はい」







ということは、ナチュラルか?
などと思いながらその子を眺めた
目を瞑っていても分かるような整った顔をしている女の子
おそらく自分より年下だ


(兵士だっと言うことなんだろうか?)






「あ……う、ぁ」


突然少女がうなされ始めた




「い、や…嫌、あ」



!? 、しっかりしろ!おい!」




嫌だ嫌だとしきりに繰り返す彼女は、と呼ばれた
カガリやアレックスの知り合いなのか
またはここに来る前に名乗っていたのか



そんなことは僕のあたままで回ってこなかった


彼女の苦しみ方が普通じゃなかったから
なにか出来ることはないかと、アレックスの反対側にまわり、そっと彼女の手を握った
それは無意識のうちの出来事


今まで両親から嫌と言うほどの愛情を受けた自分は
こんなにも苦しむ人をみたことがなかったから
辛いことや苦しいことからずっと目をそらし続けてきたから


とにかく、怖かった
とにかく、必死だった





「やめてぇぇえええ!!!!!!!!!!」


汗ばんだ身体を強ばらせ、目を見開いてが叫ぶ


!!!!」


アレックスの呼びかけにも応答せず、ただ荒い呼吸を繰り返していた


「は、はぁ、やめ、ア…嫌……ッ」




手を握り返す彼女の爪が、手の甲に強く食い込んだ
よほど苦しいのだろう
僕はどうしたらいい?僕には何が出来る?


医者が早く帰ってくることを祈って、彼女の手をさすった
大丈夫だよ、と言う言葉が
何の根拠もないけれど伝わればいいと、そう思って

















「イヤァァアアア!ラスティーーー!!」












残る力を叫びにかえ、彼女は再び気を失った


ラスティ


というヒトの名前を呼んで


























次に目が覚めたとき、彼女は先ほどとは別人のような顔をしていた


「ここ、は…?」



まだ混乱しているのだろう、ぼーっとした瞳をこちらに向け、訊ねた



「オーブだよ、分かる?」


僕は彼女が安心できるよう、出来る限りの優しい声で答える





「オーブ…?あたし………は……?」

、俺のことは?分からないのか?」



アレックスがサングラスを外し、に駆け寄った




…あた…し…?」











後日医者から告げられた

彼女は記憶喪失なのだと














そんな彼女の世話係を、僕はかって出た
同情とかそういうのじゃない


ただ、あの時記憶があったことは確かなのに
何も出来なかった自分が悔しくて


護りたいと心から思ったから














「僕はユウナ。ユウナ・ロマ・セイラン。」


今日から君は、僕が護るから
だから安心して


大丈夫。

だいじょうぶだよ。









































あとがき

これは番外(出会い編)として載せる予定だったのですが、ここにはさんでおくべきかと思いまして^^
ユウナはちゃんとカガリを好きだったらいいなぁと><

(2005/04/30)