痛み止めの薬と、安静にしているお陰でもうほとんど傷は痛まなくなっていた
あれから一度、アレックスとカガリが見舞いに来た

カガリは綺麗な花を持ってきてくれた
それからアレックスと二人で話がしたいと無理を言い、カガリとには部屋を出て貰うことにした




「ユウナロマ、その…悪かった。俺が連れてきたばかりに…」

「君のせいじゃないだろ。それより教えてくれ」

「?」

のことだよ。あと君のこともね」




だいたいの予想は付いている
というか、付かない方がおかしい

ユウナはユウナなりに色々と、先の戦争について調べていた
あのイザークというのはザフト軍でも優秀と言われたクルーゼ隊に所属していたらしい
ディアッカの方も多分そうだろう



問題はアレックスだ



そのイザークとディアッカの知り合い…それも仲は良くないが結構身近な存在に見えた
アレックスもザフト軍にいたとしか思えない
ならなぜカガリと知り合ったのか?

そう考えると答えはひとつしかない
こいつは途中でザフトを抜けたジャスティスのパイロットなのではないか―─






(まぁ今から聞けることなんだ。考えるのはよそう)






「どこまで知ってるんだ?」

「何も知らない。色々考えて君がアスラン・ザラなんじゃないかって所までは来たけど」

「…その通りだよ」



やはりそうだったのか
たくさん時間をかけて調べたのにこんなにすぐ明らかになるとは
少しがっかりしながらもユウナは話し続けるよう促した




「…もクルーゼ隊のパイロットで俺の同僚だ」

「!!!!」


予想しなかった事じゃない
だけど…本当に…!?



「出身は砂漠のバルトフェルド隊だけどな。功績をかわれてクルーゼ隊に途中から入隊した」

も…その…戦闘に出ていたのか?MSとか…」

「そうだ。言ったろ?"功績をかわれた"って。俺でも勝てるか分からないくらいの腕だったよ」

「まさか…そんな…」

「それで…戦争の終盤で俺はザフトの方針に違和感を感じてアークエンジェル行きを決めたんだ」

「それは…知ってる…」

「ディアッカもアークエンジェルについたよ。でもは最後までザフトに残った。」

「………」

とイザーク、そしてラスティもだ。」



ラスティ。
の大事な人であることに違いはないから気になって仕方がなかった
でも、知るのが怖い
まだ心の準備は出来ていない



「待ってくれ。その、ラスティの話はするな」

「…だいたいの予想は付いてるのか?」

「なんとなく…ではあるけど。まだ今は知りたくないんだ」

「…分かった」



多分ユウナの予想は的中している
アレックスの態度ですぐに分かった
それでも今は現実を受け止められるとは思えなかったから



がザフト軍のパイロット…

ということはやはり…人を殺したことがあるということで
しかも標的はナチュラル 僕と同じ―─ナチュラル。



もし彼女が今も軍人で、今も戦時中ならば
オーブはザフトの敵で、ザフトはオーブの敵
は僕を殺すだろうか
僕はを憎いと思うのだろうか





「ユウナロマ」

深く考え込むユウナにアスランが声をかける


「大事なのは今だろ?」

「アレックス…」

「考えてもしょうがない。今幸せならが誰だっていいじゃないか」



そうだ
にも言われてアレックスにも言われて。
何度言われれば分かるんだ僕は



「そうだね…ありがとうアレックス」

「どういたしまして」


そう言ってははは、と笑いあった

「アレックス!ユウナ!もう入っても良いか?」

タイミングをはかったかのようにドアの外からカガリの声がした

「悪い!もうかまわないよ」

ユウナが答えるとドアが開いてカガリとが入ってくる



「なぁユウナ、この間と何かあったのか?」

近寄るなりカガリはニヤニヤと笑いながらユウナに訊ねた

「もう!カガリ!!!」

「なんだよ!良いじゃないか別に」

「ダメなの!」


は顔を赤く染めながらポカポカとカガリを叩く
どうやら先日の事を相談したらしい


「何の話だ?」

「アレックス聞いてくれよ!ユウナったらこないだに」

「やっ…!やめろカガリ!!!!!!!」

「ユウナはノリ悪いな!じゃあ家に戻ったら言うよ、アレックス」

「?…ああ。」






久々に4人で騒いで、日が落ちる頃にアレックスとカガリは戻っていった
カガリもユウナも忙しいから次に4人揃うのはいつになるか分からないが
またこんな日があることを皆信じていた








「ユウナ」


その夜、ベッドの上で右手の包帯を巻くのに苦戦しているユウナの部屋にパジャマ姿のが訪ねてきた

!?どうしたの」

「あ…その…。あっ!包帯!まいてあげる!!」

「へ!?…あ、ありがとう、頼むよ」


あれからなんとなく照れくさい日々を過ごした
こんなに近づくのもいつもなら何とも思わないのに、心臓が高鳴って仕方なかった

「出来た!」

「ありがとう、

「あの、ね…」

「?」

「今日一緒に寝てもいい…?」

「!!!!!!!??????」

「だ、ダメだったらいいの!なんだか寝付けなかっただけだから!!!」

「ダメじゃない!ダメじゃ…ない、けど…」




二人の胸の高鳴りが一層激しいものとなる
一緒に寝る!?
ここにはベッドはひとつしかない
同じベッドで寝ると言うことなのか?まさか!





「じゃあ僕ソファで寝るから何かあったら呼ん」

そう言いながらベッドを去ろうとした瞬間、思い切り後ろから服を引っ張られた

「ここにいて!!」

「えぇえ!?だって…」

「お願い…なんだか不安なの」

「…不安?」

「よく分からないけど…なんとなく…だから」

「分かったよ。じゃあ薬飲んでくるから先に布団に入ってて。ね?」

「…うん!」
















そうは言ったもののユウナの心は落ち着くはずもなく
痛み止めの薬を飲み終えてから

(どうしよう…)


うるさい胸を抑えながらベッドに向かった

































あとがき
うちのラスティは長生きです^^(他に言うことはないのか(笑))

(2005.06.04)