「う…」


目が覚めたときには頭痛は治まっていた

「あ、たし…」


ふと外を見ると日が暮れかかっている


「ユウナ…?まだなの…?」


すぐに帰ってくると言ったのに…

会議が長引いてるのかな ユウナ頑張ってるのかな

考えているとグゥとお腹が鳴る音が聞こえた
そういえば食事を取ってないことを思いだしたは、冷蔵庫へと向かうことにした





サァァ…

「?」

水の流れる音がする
雨は降ってない


「ユウナ…?お風呂?」

そう思い、浴室の方にチラっと目をやると電気がついていた


(そっか、帰ってきてたんだ…)


よく思いだしてみれば、うつぶせのまま気を失ったのに起きたときはきちんとベッドの中だった
ユウナが気を利かせてくれたのだろう




(えへへ、じゃあ)


はユウナのためにおいしい紅茶を入れることに決めた

















軽い服装に着替え、バスタオルで髪を撫でながら浴室から出ると
ベッドにいるはずのの姿はすでになかった


「起きたのかな?」


するとなにやらキッチンからガタガタと音がしている
心なしか嫌なにおいがする気がした
キッチンの方へ足を向け、3歩ほど進んだところですぐに状況が理解できた


「……?」


の名を呼ぶユウナの顔は引きつっていた


「ゆ…ウナ…」

「何してるんだ!!!」


なんとキッチンから煙が出ている
何がどうなってそうなるのか

分からないまますぐに換気扇を回した


「あ…、ユウナ…ご、ごめんなさ…」

「ごめんなさいじゃない!!!」

「!!」


急に怒鳴り声が部屋にひびく
下を向いていたの体はびくんと跳ね、顔を上げた
いつも優しいユウナが、血相を変えて怒鳴っている

今までこんなユウナを見たことがなかった
ユウナを怖いと感じたのは初めてだ
次第に目を合わせることが出来なくなる


「火事になったらどうするつもりだったんだい」

「………」

「ちゃんと使い方理解してからキッチンを使うようにして」

「………うん」

「じゃないと危ないから」

「ん…」

「泣かなくていいよ」

「ごめ…なさ…」



しまった 怒鳴りすぎた
火事になったのかと思ったから
が怪我したのかと思ったから
気付いたら怒鳴ってた

ボロボロと涙をこぼし、は「ごめんなさい」が止まらない


怖がらせてしまった


色々と考えているとの様子が徐々におかしくなるのに気付いた
突然その場にペタンと座り込んだのだ




?」

「は、はぁ…ッ…ごめ、ユウナ…ハァ…」

「どうしたの?どこか怪我した?!」


肩が大きく上下し、体が小刻みに震えている
何を聞いてもはただ首を横に振るだけだ


「ごめん…な、さ…」

「謝らなくてもいいから、大丈夫、怒ってないから」

「やだ…ユウナ…ごめ」

!」


寒いのか、体の震えを抑えるためなのか
自分で自分の体を抱きしめる形で、必死に謝り続ける

の目はこちらを向いてるようで見ていない
何を見るでもなく開いているという感じにとれた


「きらい…に、ならないで…いや、ユウナ…ユウナ」

…!?」

「は…ぁ、…嫌いにならないで…はぁ、ッ…あ、」

「好きだよ、大丈夫、嫌いになんてならない」

「やだ…見捨てないで…嫌いにならないで…」


繰り返しつぶやかれるその言葉に、ユウナは罪悪感を感じていた


僕がどなったからこうなった
僕が怖かったんだ
を傷つけた
こんなにも繊細だなんて―─
―──…知らなかった訳じゃない


どんどんおかしくなる様子は手に取るように見えた
の背中をさすりながら 大丈夫だから と囁く
なにが大丈夫だ
僕のせいじゃないか。

だけどがこの言葉で安心してくれるなら―─
そう思った





「嫌わないで…ユウナ…」


体の震えはさらに酷くなり、の顔が青ざめる
呼吸がとても荒い 酸素が足りていないのだろう


、分かる!?僕が見える?聞こえる?」

「ユウ…ナ」


かすれた声でそう言うと、ぐらっと前に倒れ込んだ
ユウナはとっさにを受け止め、医務室に連れて行くことを決めた


お姫様だっこの形でをかかえ、すぐに部屋を出る


「…はぁ…ッ、は…」

…ごめんね…僕の、せいで…」

「ユウナ…あたし…の事…嫌いじゃない…?」

「嫌いなわけないよ!好きだから、誰よりも」

「あ…、たし……」

「?」










もし、あの夢が本当だったら―─?









「あたし…、たくさんの人を殺した…」































あとがき

訳分からん展開になってしまいました!OTL
ちゃんが紅茶入れるためにお湯を沸かしてて煙が出たというのは笑うところです(ぇ
(2005.07.07)