しん と静まりかえった部屋
ユウナはただ、が口を開くのを待つ






震える彼女の手を見ると、ぴったりと包帯が巻かれてあった
よほど辛い思いをしたのだろう
自分には、理解できないほどの痛みだったんだろう
僕のことも見えなくなって 自害することしか思いつかなかったなんて
彼女にとってラスティという男は それほどに大きな存在だったのだ


判ってる



自分から促したのだ
何を言われても動じない…つもりで今話をしている


生きたいと再び願ったは今、何を考えているのだろう















「プラントには、かえらない…っていうか、帰る場所 も ないし…」

「そ、そうなの?」

「ん、あたしは地球出身だから」

「知らなかった…」

「うん、あたしも…忘れてた」




くす、と少し笑みをこぼしたユウナを見て、は安心した



大丈夫、言えるよ あたし





「あのね、ユウナ」

「うん」

「し ばらくは、オーブに…いる つもり」

「本当かい!?」



急にずいっと前のめりになってくるユウナに驚いて、はソファの背もたれに倒れ込んだ
その態度から彼の思考はおそらくマイナスにしか傾いていなかったようだ


このままでいい
言うなら今しかない





「わ、あっ、ごめん」

「ううん、ユウナ あたしね」

「う ん」

「あたし、ユウナがすき」







言 った



ユウナの目を見て ちゃんと言えた
あたしの気持ち 伝えたい言葉




ユウナ、 何か言って








部屋はさらに静まりかえり、聞こえるのは時計の音だけ
コチ コチ
秒針が何回鳴っただろう


沈黙が続いたまま 2人の時間は止まったかのようだった





「…ユウ ナ?」

「 ほ 」

「え? きゃ…っ!」




急にの視界からユウナが消える
いや 実際には消えたのではなく



「ユウナ!?」

「本当かい!?本当に ほんとに ほん」

「うん 本当だよ」



勢い余って彼は彼女に抱きついていた
その積極的な行動にはただ目を丸くする一方で

だけど ちゃんと伝わったという事をただ嬉しく感じていた






あたしは幸せ者だ
受け止めてくれる人がいる
支えてくれる人がいる
そばにいてくれる人がいる




「ユウナ、あたし そんな風に…」



想ってくれてるなんて、知らなかった
むしろ、その逆だと思っていた


嗚呼この人は、なんて大きな人なんだろう




「僕も好きだよ。ずっと大好きだよ」

「うん…嬉しいよユウナ…」





もう泣かないって決めたのに
すっかり涙腺がゆるんでしまったのか、涙が溢れた
ユウナの着るスーツにしみこんでゆく

ユウナの前で泣くのは何度目だろう もう数え切れないだろう
だけど安心して、ユウナ もう悲しい涙は流さないよ




ユウナの背中の傷にさわらないよう、ぎゅうっと彼を抱きしめて
彼も負けないほどを強く抱きしめた

























しばらく時が流れて ふたりはふと我に返る


「な なんか 照れるね」

「そうだね、」


目があって、くすくすと笑いあった
もう邪魔するものは何もない 
2人だけのこの時間 ゆっくりと流れる時間を、心から大切にしようと誓った






ユウナのにおいも、暖かさも、心の大きさも、きもちも、みんな優しくて、すごく 嬉しい

あたしは 、あたしも、ユウナに何かしたい
自分に出来ることなら何でも
ユウナへのたくさんのごめんなさいと、ありがとうの気持ちを込めて
あたしを救ってくれたラスティに恥じないよう、幸せに生きるために












ユウナ、愛してる


































あとがき
ひとまず落ち着きました^^
(2006.03.17)