アレックスのエレカをユウナが追いかける 天気は快晴 手首の傷を隠すように長袖を着ていたは 今まで暑いのを我慢していた分、エレカで切る風がすごく心地良いと感じていた あまり見たことのない景色 だんだん街や、ユウナの家や、行政府までもを通りこしていく 海の方へ続いているのか、しばらくすると潮の香りが漂い始めた 「僕もこっちの方はあんまり来たことないなぁ…」 「そうなの?」 ってことはオーブでも田舎の方なのかな そんな事を考えながら、は進行方向の左側に続く海を眺める (海か…任務でオーブに侵入した時は海からだったなぁ、…ニコル…) まさか自分がオーブで普通に暮らすことになるなんて あの頃は想像もつかなかった あたしと同じ状況をかかえているアスラン そういえば彼はどうやって、ニコルの死を乗り越えられたのだろうか それともまだ、引きずっているんだろうか あたしは今だってラスティのこと、辛いよ 夜は眠れない きっと、ユウナがいなかったらもっと酷い状況になってたんだろうなって思う ぼーっと海をみたまま、そうこう考えているうちにエレカが止まった ブレーキに吃驚して前をみると、アレックスはもう車から降りていた 「着いたぞ」 「うっわぁ…大きな屋敷だねぇ」 ユウナの言うとおり、そこに見えた建物はユウナの別館よりも大きかった 「でも結構遠かったね、不便じゃないのかなあ…」 「だからこうやって、たまに俺がこんな大量の買い出しに行かされるんだ」 アレックスがエレカの後部座席に大量に乗せてある荷物を指さしてそう言ってのける 全部カガリが使うのだと勝手に思っていたは、なるほどと納得した 「誰の家なんだい?アレックスはカガリのところに泊まってるんだろ?」 「たまにこっちにも来るんだ、ここは俺の友達と友達のお母さんと、友達の命の恩人と、え〜…と」 「え?大家族?」 「いや、そういうわけじゃないんだが」 「あーーー!!!!アレックスが帰ってきたー!」 ユウナとの質問にたじたじのアレックスに、いきなり家の方から飛び出してきた子供達が群がる アレックスだ、いや違うアスランだ、と好き放題わめく子供達は、いっせいにアレックスの周りを包囲した 状況が飲み込めないとユウナは、ただ呆然とするばかりで 「アレックス、これは…どういう…?」 「あの、ちょ、ちょっと待って、俺行かなきゃいけないところがあるから」 「えー何でー」 「遊んでよー」 「ほら、これ、キラの所に届けて。早い者勝ちだぞー」 ズボンの裾や服の袖を引っ張られ、少しふらついていたアレックスは、そう言ってうまく言い逃れた 子供達はみな、エレカから荷物を運び出し、やれ誰が一位だと騒ぎながら「キラ」のもとへ走り去っていく 「すごいいっぱい居たね、こども…」 「ああ、驚かせてすまない。ここは戦争孤児達の面倒を見てるんだ」 「へぇ…」 孤児 という言葉を聞いて思いだすことはいくらでもある 「?」 自分は両親に捨てられた孤児である 両親の顔は覚えてはいないし、産んでくれたからこそ今ここに自分が居るわけで 別に恨もうとかそういう気持ちはない たぶん、自分を拾って育ててくれた人たちが、あまりにいい人達だったから そういう風に思えるようになったんだと思う あたしはとても運が良かった だけど、その恩人ももう生きてはいない。…先の戦争の被害にあってしまったのだから 「、行くよ?」 「あ、…うん!」 ユウナに声をかけられて思考をとめる ふと気付けばアレックスは玄関から少し離れた裏口のような場所に立っていた 置いて行かれ気味だったので、はそこへ駆け寄る 「この中に保管してある」 「え!?ここに格納庫があるの!?普通の屋敷じゃ、 ないの…?」 「まぁ詳しくは言えないけど、のジンの観覧許可は貰ってるから」 オーブ軍基地にでも連れて行かれたらどうしようかと思っていたから、その点は安心した でもこの屋敷は、一体なんなのだろうか しかも、ジンを置くためだけに格納庫を造ったとでも言うのか それとも、他にも機体が保管してあるのか だったら住人は軍人?それも、権力を持った…ベテランの そもそもオーブ軍に黙ってこんなものを持っていていいのかな、言えないからこそこんな田舎に造ったのかも知れない 気になることは山ほどあった でも「詳しくは言えない」らしい 「案内するから、入って」 アレックスに促され、少し小さめの扉をくぐる 背の高いユウナは、かがまないと入らなかった 「狭いよアレックス」 「しょうがないだろ、地下に続いてるんだから」 「地下?何だかすごい屋敷なんだねぇ、ここは…」 つらい体勢のままで細くて狭い階段を下りる しばらく暗い視界の中、階段を下り続けると小さい光が見えた あれがエレベーターだ、とアレックスは言う ここからまだ下に、のジンはあるらしい 確かに、MSほどの大きいものを保管するには相当の地下施設が必要だ それは納得できる だけど、何のために? ジンの保管は、ザフトでも出来たはず こんな、アレックスだけの提案と意見で、ここまでの地下施設を建設できるものなのか? 「あの、どうしてジンを残してくれたの?ていうか、ここ…」 「君があれを大事にしてたのは聞いてたし…」 聞いていた、というのはおそらくラスティからだろう 「ここのことは気にするな、格納庫の一角を借りてるだけなんだ」 「え!?じゃあ他にも色々置いてあるの!?」 「あ、いや、その、まぁ、気にするな」 自ら墓穴を掘ったであろうアレックスの言葉から、この格納庫がいかにでかいものなのか分かった まぁ怪しいには怪しいけど、特に気にすることもないか と、はアレックス、ユウナに続いてエレベーターに乗り込んだ ずいぶん階段で下りてきたので、たぶんもうすぐ近くなのだろう 乗り込んだエレベーターは、すぐに到着のサインを出した 着いたぞ、と先にでて歩き出すアレックス ユウナが開けるボタンを押してくれている間にも彼を追いかける 「うわ、真っ暗…、 ?」 「あ、ごめ、…緊張してきちゃって」 「そうだね、でも大丈夫だよ」 暗さと、先の戦争の思いと傷がつまった自分の機体を今から見ることで いつの間にか震えていたの手は、自然とユウナの手を握る 何の根拠もない彼の「大丈夫」は、今でもを安心させる効果があって 自分がそれを求めているのだと気付いた 何も見えない道を、一歩、二歩、アレックスがライトをつけてくれるのを待ちながらさまよっていると 少し遠くに人の気配を感じた 「だれか、いる」 「え?」 がぼそっとそう告げた瞬間、その人は口を開いた 「やぁっと来たか、遅かったじゃないか。。」 あとがき 頑張って長くする練習。(趣旨がずれてる笑) ちゃんとユウナのせりふ、所々ごっちゃになってますよね><;; 色でもつけて区別したい…!! (2006/10/15) |