「僕は2年ぐらい待ってたんだけどなあ」 だれだ コツコツと、足音が響く 声の主は確実にこちらに向かって来ている ただは、高鳴る鼓動を抑えられずにいた ユウナの手を握るの手には、うっすらと汗が滲む (だって、だって…この声は…!) 「思いだしたんだろう?」 すぐ目の前で男の声がする もうここまで歩いてきたらしい と言っても暗くてもともとの距離なんて判らなかったが こわい、怖い、あたしこの声知ってる でも随分と前に失ったはずなのに どうして タイミングを謀ったかのように、(いや、あとから思うとこれは確実に演出だった)目の前がパァっと明るくなる アレックスがやっとライトをつけたらしい あまりのまぶしさに、ユウナとは握っていた手を離し、とっさに目を覆った そ、っと目を開けると、想像した距離にその男はいた 「、おかえり」 「あ、 …ッ」 突然の出来事に言葉が出ない 勝手に涙が溢れて止まらない 視線は彼から外れなくなった 体も思うように動かなくて だって、だって、だって、 死んだって あのとき、死んだって ねぇ、 「アンディ…!!」 やっとの思いで言葉を発すると共に、彼女は彼のもとへ駆け込んだ 「あ、ア ンディ…、だよ ね ?」 動揺を隠せないは 目の前にいる男の顔を見上げながら震える体に力を入れる 「あぁ、僕だよ」 そう言った男は、間違いなくアンドリュー・バルトフェルドだった 『砂漠に不時着したAAがバルトフェルド隊を壊滅させ、なおも逃走中』 そのニュースが入ったのは2年と少し前 先の戦争のまっただ中の事だった もちろん砂漠に落ちてしまったディアッカとイザークも心配だったが 何よりも自分の出身の隊だったから 隊長のアンディ・副官のアイシャが心配でならなかった 両名とも死亡したとの報告を聞いたのは、その数時間後 地球に到着する少し前のこと 泣いているヒマがあれば、早くAAを落とさなくては そんなことは判っていた でも部屋で一晩中泣きはらしたあたしに、ずっとラスティがついていてくれたのは すべてを思いだした今、まだ記憶に新しいことで 「生き て、 て くれた…の… 」 「ああ」 「目、…見えない の?」 「コッチだけな」 左目に大きく残ってしまった傷を軽く触りながら バルトフェルドはおどおどするを見て嬉しそうにしている 「よかった…本当によかった、アンディッ…!!」 「ああ。僕もまたこうして君と話が出来て嬉しいよ」 涙目でこちらをずっと見ているの頭を、くしゃっと撫でてやった がバルトフェルド隊を離れてから3年も経っているから、少し背や髪も伸びたようだ 生きている。 再び会えた。 その喜びを噛みしめるように はアンディの姿を目に焼き付け アンディはの頬に感覚のある右の手を当てた 「え… っと?」 状況を全く理解できない男が一人 の機体を見て今後の処分を考えるために、アレックスに格納庫のある怪しい家に連れてきてもらった 地下に行くと真っ暗で、が誰かいるって言い出して 電気がついたと思ったらどうやらそこにいたのはの知り合いで 名前はアンディと言うらしい 判るのはそこまで しかも2人はなんだかとても良い雰囲気 「…なん なんだい?」 視線は2人からはずさないまま、アレックスに質問を投げかけた 「あー、えっと、あの人はバルトフェルド隊の隊長だよ」 「隊長!?ザフト軍の!?」 「そうだけど、…なんて言えばいいんだろうな。死んだことになってる」 「は?」 「だから、」 「ユウナ!」 アレックスの説明を聞こうとした瞬間、視線の先にいたとアンディとやらが急にこっちを向いた どうやら僕のことをが紹介しようとしているらしい 「ユウナ、このひとアンディって言うの」 「はじめまして、ユウナ様。アンドリュー・バルトフェルドです。」 「は、はい。はじめまして。」 なんだ、僕のことは知っているのか。 そう思って、差し出された手と握手をした 「僕は先の戦争で死んだことになっていてね。オーブに身を潜めていたんだ」 「あたしもアンディが全然連絡よこさないから、ホントに今この瞬間まで死んだと思ってた」 「それであんな嬉しそうだったの、」 「うん!」 顔の傷のせいか、軍人だと聞いたからか、少し怖いイメージのあるそのアンディという男は ずっと嬉しそうにを見ていたかと思うと いきなり真剣な目つきにかわりユウナに話しかけてきた 「ユウナ様」 「は、はい」 「今までずっと、の面倒を見てくれてありがとう」 「え?あ、いえ、そんな」 「本当はアスラン君から聞いていたから、2年前から知っていたんだが…どうにもその…」 「記憶喪失、だったからですか?」 「そう…、だし、ユウナ様に非常に懐いていると聞いて、無理矢理引き取ることも出来ないと思って」 挨拶くらい、出来れば良かったんだが と付け足しアンディは、申し訳なさそうに頭を下げる 「気にしないでください、僕はと一緒にいることで随分と救われましたから」 「あ…あたしもね、ユウナがいなきゃ、生きてなかったかもしれない」 「…」 思わず目を合わせて笑い合うふたりを見て、アンディは思った 面倒を見てくれたのが彼で本当に良かったと 少し頼りなさそうだが、誰よりもを想ってくれている いま一瞬話しただけだが、そういう風に感じられた もともと、アスラン君から報告してもらっていたのももちろんあるが それだけで充分だ だれか一人でも良い、傷ついたあの子を想ってくれる人がいるなら 「あっそれでね、ユウナ」 「ん?」 「アンディ、砂漠にある隊の隊長だったんだけど…」 「うん。さっきアレックスから聞いたよ」 さっきとは様子が変わって、何か言いにくいことがあるのか は口をもごもごさせて 少しばかり目を泳がせていた 記憶を取り戻しても、こういう所は変わらない 言い出しにくいことがあるときは、さりげなくユウナから聞き出すのがいつものパターンである 「何か、問題があるのかい?」 「…アンディ、実は」 「うん」 「あたしの、」 「うん」 「…お父さんなの」 「………………………。」 「…ええええええええええええ!!!!!???????」 の告白から3秒ほど後になってから、格納庫にはユウナの驚嘆の声が響き渡った あとがき ってアンディかよ!みたいなね。 久々です。アンディ、出す意味があるのかないのかは判りませんが(笑)好きなので! ちゃんの過去にもふれといた方がいいかなーと思って出しました。 ユウナがどんどこヘタレ街道まっしぐらですね。誰かとめて…!(笑) (2007/01/03) |