雨は 容赦なく降り注ぐ
傘なんて もってないあたしに
 







…冷たい











愛するあの人は今 冷たい つめたい 灰色の、石



























 
 
 
 
足下には、さきほど自分が置いた花束
好きな花なんて知らないから、適当に選んだ
だけど彼を思いださせる オレンジの花




先の大戦で戦死した軍人達
特に前線で戦った者達の墓は だいたいこのプラントにある
ニコルや、ミゲルや、マシューにオロール

みんな仲良かったのに ここに来ると思いだす 嫌でも思い知らされる
彼らにはもう会えないのだと





 ラスティにも もう会えないのだと















 
先の大戦が終わって2年、あたしは今ミネルバにいる 
懲りもせず、軍人でいる
軍以外を知らない人生を送ってきたから 
だから、プラントを護りたいだとか そういうことは今はもう何も思ってない
ただ することがなくて 出来ることがこれしかなくて それだけ


 

2年前は、自分の未来には当然ラスティがいるものだと思っていた





いないなんてありえない
ラスティがいなきゃ、あたしは生きていられない






 
確かにそう思っていた 今も思ってる
なのに今も生き続けている自分が判らないんだよ
ラスティがいないのに 生きてるんだよ












人は言う

もう2年も経ったんだな って


2年経っても あんなにたくさんの人が犠牲になっても ラスティが死んでも 
世界はなんにも変わらない
ばかみたいに同じ事繰り返して またたくさん人が死んで あたしみたいな思いをする人を生む


だけどそれを止めたいとか もうあたしみたいな人をつくらないで とか
思わないあたしは腐ってるのかな
 
 
 






 
神様がいるならずいぶんと意地悪だと思う


 
 
大きな事は望まないのに


ただ ラスティにそばにいて欲しい
ただ ラスティと話がしたいの
もういちど 会いたい 
ただ ただ それだけなのに

どうして叶わないの なぜ二度と会えないの
あたしが後を追っても会えないことは知ってる 天国も地獄もないんだって知ってる



だからどうすればいいのか判らない







 

幸せになってね なんて無責任な言葉







ラスティがいなきゃ、そんなものありえないのに
あたしの未来に 幸せなんてこないよ
 
 


なんで命には終わりが来るのかな
終わりなんかあったって、人はそれを無駄にするよ
 




だったらせめて、命を大切にしようとする人に、一緒にいたい大切な人がいる人に



平和を願うすべての人に







自由な命を与えて欲しい




気が済むまで生きていられて 好きな時に一緒に死ねるような













そんな そんな風だったら あたし…
















あたしは































あとがき

病みまくり。
そんな風だったらどうなってたかは ちゃん次第。
今みたいな思いはしないだろうけど、幸せなのかどうかもこれまた考えものですね。

(2006/10/06)